未来EiKO募金のミライ
―三者対談―

未来EiKO募金も今年で3年目。コロナ禍後の生徒活動、教育活動を見据え、未来EiKO募金の今後の方向性などについて、学園の活動に深く関わる同窓会、後援会と意見交換を行いました。

参加者
同窓会会長:河原光博氏
後援会理事長:真島豊氏
学校長:望月伸一郎
司会:未来EiKO募金委員会事務局

未来EiKO募金に関して同窓会、後援会の皆様には多大なるご協力をいただき有難うございます。今日はこの未来EiKO募金を、今後どのようにしていけば、持続・発展させていけるのかを、それぞれのお立場からお話しいただき、また意見交換をしていただければと思います。 まずはお三方の関係性を少しお話しいただけますでしょうか?

望月:

同窓会会長の河原さんは、私が栄光学園に着任して2年目の教え子で、30年以上前の私の姿を知っている卒業生です。ご子息も67期で親子二代に教えたことのあるとても深いつながりです。

河原:

望月校長先生は、私が37期生として在学中に特にお世話になった先生で、卒業後も年賀状のやり取りをさせていただいていました。また、上智大学の先輩でもあります。

真島:

私の息子は59期で、私自身2013年から後援会副理事長、2018年より理事長を務めさせていただいており、今年で11年目になります。その間に学園70周年事業募金委員会にも参加させていただいており、校長先生、同窓会の皆様には大変お世話になっております。

それぞれ学園に深いかかわりを持っていらっしゃることがよくわかりました。ありがとうございます。さて、未来EiKO募金ですが今年で3年目になります。スタート時から同窓会や後援会の皆様に様々なご協力をいただき、続けてくることが出来た訳ですが、この未来EiKO募金を始めた理由を、まず校長先生からお聞かせいただけますでしょうか。

望月:

栄光学園に勤めて40年目になりますが、この40年の間に在校生の保護者は勿論のこと、卒業生の方々、そして卒業生の保護者の方々の栄光に対する愛の深さというものを非常に感じておりまして、こんなに栄光愛、母校愛の深い学校というのは本当に稀有な存在だなという思いをどんどん深めていきました。それは教員として他校の先生方とお話をしている中でも感じましたし、例えばそれがOBゼミという形に現れたりとか、栄光祭の時のOBの部屋の賑わいに現れたりとか、様々な形で感じ取ることができます。
今回、未来EiKO募金を始めさせていただいたのは、学園の現状、あるいは学園の今後を考えたときに、やはり財政的な面で、まだまだ私たちが努力しなければならない部分が大きいと考え、その中で卒業生の方々、また卒業生の保護者の方々のお力添えをいただけるような場がないだろうかと考えていた訳です。
ちょうど学園70周年の校舎建設の際に、多大なご寄付をいただき70周年事業である新校舎も無事に完成しました。
ここでも、卒業生の方々、卒業生の保護者の方々の深い栄光愛を感じることができました。一方でその栄光愛が70周年で終わるわけではありませんので、その後もそういった思いを受け止めさせていただく、そういった場があれば、より一層、学校も活気づくのではないかと考えてこの募金を始めさせていただきました。

なるほど、そのような背景でスタートしたのですね。これを受けて同窓会、後援会ともに色々とご協力いただいている訳ですが、まず、同窓会としてはどのように受け止めていらっしゃいますか?

河原:

そうですね。やはり「学園70周年」の募金の際に多くの同窓生が趣意に賛同し、たくさんの寄付をしてくださったということもありますし、同窓生からも恒常的な募金の仕組みがあると良いという声も多々上がっています。そういった声も踏まえ、2年前に「未来EiKO募金」という素晴らしい仕組みができたのは本当に良いことだと思いますので、同窓生から恒常的に募金が集まるようにアナウンスしていきたいと思います。

ありがとうございます。後援会としてはいかがでしょうか?

真島:

後援会は毎年12月に、「後援会だより」を会員の皆様にお届けしております。その際、後援会への寄付用紙を同封し、いただいたご寄付は、後援会から学園へ寄付しますとお伝えしておりました。未来EiKO募金では後援会会員の皆様からの寄付を募っているため、一昨年から後援会への寄付のお願いを止め、望月校長先生からの未来EiKO募金を通じたご寄付の依頼状を後援会だよりに同封しております。未来EiKO募金につきまして、多くの後援会会員の皆様が、趣意にご賛同くださり、ご寄付をしていただいていること伺い、ありがたく思っています。

学園70周年の時には新校舎建築という明確な目標があり、それによって寄付する側も寄付しやすい環境ではあったと思われます。未来EiKO募金では【教育内容拡充】【施設設備拡充】【生徒の修学支援】を3つの柱として募金活動をしている訳ですが、スタートして3年となり、学園としてこの募金の効果と、また今後この募金の目的や形を変えていく可能性があるかどうかお聞かせください。

校長:

そうですね。3つの大きな使途を掲げさせていただきまして、その目的を指定してご寄付をいただくという形にしています。
この3つの目的については、今後しばらくは変える予定はありません。
やはり、当面は学園にとって、お力添えを必要とする部分であると考えています。例えばですね、第1に掲げました【教育内容拡充】という部分で言えば、今年の夏休みは3年ぶりにコロナが明けまして、アメリカのボストンカレッジへ40人の高校生が留学に行く、あるいはフィリピンのイエズス会学校に10人の生徒が留学に行くのですが、それぞれこのコロナ禍を挟んで渡航費用が大変高くなりました。約1.4倍弱です。
一方で、できるだけ多くの生徒に参加を検討してもらいたいということで、総額数百万単位で生徒に対する補助を出すことができました。
これは本当にありがたいことだと思っています。これらのプログラムが成功したのも未来EiKO募金のおかげだと思っています。
また、【施設設備拡充】については、サッカー場、そして野球場の改修も終わり、今後必要となるメンテナンスについても未来EiKO募金に援助していただきたいと考えています。
そして、3番目の【生徒の修学支援】ですが、国や県の就学支援は高校については実質年収700万円~900万円でも受けることができますが、中学については公的支援が整備されていない状況です。
このような背景で未来EiKO募金を、修学支援を希望するご家庭に支給するようにしていますが、その必要性というのは増すことがあっても減ることはありません。イエズス会の学校として、どんな場合であったとしても経済的な理由で栄光学園を去らなければならないということは、絶対にあってはならないと考えています。そういった意味でも未来EiKO募金は大変に心強いと感じています。

今のお話を受けて、同窓会の河原会長からコメントいただけますか?

河原:

そうですね。未来EiKO募金について、同窓会の常任委員会において常任委員からもいくつか意見をいただいています。私を含めた同窓会役員は、学園のいろいろな話を知る機会が多いので「募金の趣意」はよくわかりますが、広く同窓会員に「募金を何に使うのか」「学園が今どういう状況にあるのか」等を具体的にわかりやすく周知したほうが良い、という意見が数多く出ていました。
「学園70周年」のように分かりやすい旗が立っていれば良いのですが、毎年の寄付となると「学園の状況」「どんなことにお金がかかるのか」「今後何に使いたいか」等、先ほど校長先生がお話しくださったような具体的な内容が周知されると、募金へのモチベーションがアップするのではないかと思います。(確かに毎年の結果報告には書いてあるのですが…)

後援会の真島理事長はいかがですか?

真島:

望月校長先生がお話しくださった、海外留学する生徒の皆さんへの補助や、修学支援などに、未来EiKO募金が使われていることを、後援会会員の皆様にお伝えしたいと思いました。望月校長先生には、このような未来EiKO募金の使途のご紹介を、ぜひ次号の「後援会だより」にご寄稿に含めていただきたいと思いました。卒業生の保護者である後援会会員の皆様に「未来EiKO募金はこのように使われている」ということを知っていただくことで、その趣意にご賛同なさる会員の皆様がさらに増えてくれると幸いです。

ありがとうございます。募金委員会としても情報発信に関しては更なる創意工夫が必要であることを痛感しています。情報発信の機会、媒体、内容、タイミングなど今後の課題であると思います。今後も、同窓会、後援会には是非ご協力いただけますようお願いいたします。
それでは、最後に校長からお願いします。

校長:

未来EiKO募金が始まった2021年はコロナ禍であり、活動の自粛により出費も通常よりは抑えられていたと思います。これからは生徒の活動も活発になり出費もより増えていくことが容易に想像できます。一方で神奈川県の経常費補助については全く増えない、東京都との差が開いていく一方で縮まることはないというのが現状です。生徒一人当たりに換算しても約10万円、1000人規模では約1億円の差が東京都の学校との間にある訳です。単純に考えても財政基盤は東京都の学校の方が強いということです。
この差を何とかしたい、縮めたいというのが未来EiKO募金の始まりでもあります。
今後、海外の活動は勿論ですし、日常の生徒活動、教育活動の中で「お金がかかるから規模を縮小する」というようなことはしたくありません。むしろ「お金がかかってでも、生徒の活動がより活発になっていく」という方向を選ぶべきだと思っています。そういう意味では具体的なお金の使い道を周知するなどして、この未来EiKO募金を皆さんにさらに認知していただいて、一層のお力添えをいただければ、大変ありがたいことだと思います。

本日は、お忙しい中、誠にありがとうございました。